自動車保険は強制加入?自賠責保険と任意保険の違いと4つの注意点をFPが解説

2019.03.23

自動車保険

自動車保険は「強制加入するもの」、あるいは「契約者が選べるもの」という話を聞いたことがあるかと思います。

自動車保険には、大きく分けて自賠責保険と任意保険の2種類があります。

免許を取得してこれから自動車を運転するという方や、初めて保険会社と契約をするという方は、この両者の違いをしっかりと把握しておく必要があります。

今回の記事では、自賠責保険と任意保険それぞれの特徴と異なる点、さらには自賠責保険だけで自動車を運転することのリスクについて解説します。

自動車保険における強制保険(自賠責保険)と任意保険の違い

自動車保険の強制保険と任意保険の違いについて、その仕組や補償内容、補償限度額、保険料を比較してみましょう。

強制保険(自賠責保険)とは~仕組みや保障内容、限度額と保険料

自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)とは、自動車損害賠償保障法という法律によってすべての自動車の運転者に加入を義務付けられている保険のことで、強制保険とも呼ばれています。

自動車事故を起して他人にケガを負わせたり、死亡させたりした場合、自動車を運転していた人には、事故によって生じた損害を賠償する責任があります。

つまり、万が一の事故によって損害を被った人を救済する保険が自賠責保険なのです。

自賠責保険は対人賠償を目的としているため、自動車事故による運転者のケガや自分の車、相手の車、壊してしまったガードレールや電柱などの物損は保障されません。

自賠責保険がまかなえる保証対象との限度額、保険料は次のとおりです。

保障対象 内容 保障の限度額(被害者1人につき)
傷害による損害 治療費、休業損害、慰謝料 120万円
後遺障害による損害 自動車事故による傷害によって身体に残った毀損が自動車事故との因果関係を医学的に認められたもの 75万~4,000万円
死亡による損害 葬儀費、逸失利益、被害者や遺族への慰謝料 3,000万円

参考→限度額と保障内容|国土交通省

自賠責保険の保険料の目安(自家用乗用自動車)

37ヶ月 36ヶ月 25ヶ月 24ヶ月 13ヶ月 12ヶ月
保険料 36,780円 35,950円 26,680円 25,830円 16,380円 15,520円

参考→自賠責保険基準料率表|損害保険料算出機構

任意保険(自動車保険)とは~仕組みや保障内容、限度額と保険料

任意保険(自動車保険)とはその名の通り、自動車保険会社と契約した人が任意でつけることができる保険のことです。

強制保険である自賠責保険は、自動車事故の相手方が負った損害しか補償されませんが、任意保険は自賠責保険がカバーできない賠償額を補い、自分や相手方の自動車、電信柱やガードレールなどの物損、人身傷害・搭乗者傷害を補償します。

任意保険の基本的な補償は次のとおりです。

任意保険 補償内容 限度額
対人賠償保険 交通事故の相手方の治療費や損害賠償金を補償 無制限
対物賠償保険 交通事故で損害を与えた相手方の車、電柱やガードレール、店舗などの損害を補償 無制限
人身傷害補償保険 自分や自分が運転していた車の搭乗者の損害を補償 3,000~5,000万円
搭乗者傷害保険 自分の車の運転者や搭乗者の損害を補償 1,000万円
自損事故保険 運転者自らが起した事故で運転者がケガや死亡した場合に保険金が支払われる 1,500万円
無保険車傷害保険 相手方が無保険車だったり、補償額が不足していたりする場合に補償 2億~無制限
車両保険 自分の車が交通事故や盗難、いたずら、自然災害などで受けた損害を補償 時価車両価格

参考→任意保険の選び方を自賠責保険との違いから判断しよう|SBI損保

任意保険の保険料はどの補償を付けるかによって、あるいは自動車保険会社によって異なります。

保険料を知りたい場合は、各自動車保険会社のホームページなどでスピード診断や保険料シミュレーターを利用すれば、おおよその金額を調べることができます。

強制保険(自賠責保険)に加入していないとどうなるか

自賠責保険に未加入の人が自動車を運転することを「無保険運行」と言い、無保険運行が発覚した場合は1年以上の懲役か50万円以下の罰金が科されます。

自賠責保険に加入せずに自動車を運転して自動車事故を起してしまうと、何百万円、何千万円という賠償金を自費で支払わなければなりません。

たとえば、自動車事故の被害者が「妻子持ち、年収700万円で家族の家計を支える40代の男性」だった場合、事故のケガで14級の後遺障害が残った場合はトータルで1,800万円、死亡させていしまった場合は1億円を超える賠償金が請求されることになります。

強制保険(自賠責保険)では足りない!任意保険にも加入するべき理由

任意保険は自賠責保険ではカバーしきれない賠償金を補い、被害者のケガや死亡以外の対人賠償、対物賠償、自動車の修理費用などを補償します。

たとえば、先ほどの「妻子持ち、年収700万円で家族の家計を支える40代の男性」が死亡した場合、自賠責保険では最大で3,000万円までしか保険金が支給されません。

残りの7,000万円は自費で支払わなければならず、人生が大きく変わるほどの負担になってしまいます。

運転歴が長く運転技術が優れている人でも、相手方の車がある限り100%交通事故を防ぐことはできません。

万が一の事故に備えて、自分が必要とする任意保険に加入されることをおすすめします。

任意保険に入らずに事故を起こした場合の保障額シミュレーション

任意保険に入っていない人が、交通事故を起した場合に支払うことになる賠償金をシミュレーションしてみましょう。

強制保険(自賠責保険)だけで事故を起こしてしまった場合のシミュレーション1

【ケース①】

渋滞での脇見運転で前の自動車に追突、相手方の運転者は追突の衝撃でむちうちになってしまった。

通院期間は3ヶ月で実通院日数は20日だった。

むちうちの治療をしたが神経症状が残り、後遺障害14級に認定された。

被害者は30歳男性独身、年収400万円でトヨタ・プリウスに乗車していた。

過失割合は追突したほうが100%と判断された。

治療費 30万円
通院費 3万円
文書料 2,000円
休業損害 11万4,000円
入通院慰謝料 16万8,000円
後遺障害の慰謝料 110万円(弁護士基準)
逸失利益 334万2,200円

傷害による損害 61万4,000円
死亡による損害 444万2,200円

計 505万6,200円

自賠責保険の傷害による損害の保障は120万円まで、後遺障害による損害の補償は4,000万円までなので、【ケース①】の場合は賠償金のすべてを自賠責保険でまかなうことができます。

ただし、自分がケガを負った場合の治療費や、相手方と自分の車両の修理費用は自己負担となります。

強制保険(自賠責保険)だけで事故を起こしてしまった場合のシミュレーション2

【ケース②】

交差点で右折するときに、不注意により横断歩道をわたっていた人を轢いてしまった。

被害者は病院に運ばれたが、翌日に死亡してしまった。

被害者は30歳男性独身、年収400万円だった。

治療費 5万円
入院付添費 6,500円
入院雑費 1,500円
葬儀関係費用 150万円
休業損害 5,700円
家族・親族の駆けつけ費用 10万円
死亡慰謝料 2,200万円
逸失利益 5,013万3,000円

傷害による損害 31万3,700円
死亡による損害 7,373万3,000円

計 7,404万6,700円

自賠責保険の傷害による損害の保障は120万円まで、死亡による損害の補償は3,000万円までです。

【ケース②】の場合は傷害による損害は全額補償できますが、死亡による損害は最大限補償されても残り4,404万6,700円は自己負担となります。

このケースのように、自動車事故によって相手方を死亡させてしまったり、大きな後遺障害が残るほどの大ケガを負わせてしまったりした場合、自賠責保険では全てをカバーすることができません。

強制保険(自賠責保険)だけで事故を起こしてしまった場合のシミュレーション3

【ケース③】

コンビニの駐車場でアクセルとブレーキを踏み間違えて店舗に突っ込んでしまった。

運転者は足を骨折して手術、10日間の入院。

店舗の一部を損壊、修理期間としてコンビニは10日間の休業を余儀なくされた。

●店舗の修理費用:500万円
●店舗の休業損害:約166万円(月の純利益を500万円とした場合)
●自分の自動車の修理費用:8万円
●ケガの治療費:20万円
●計:694万円

自賠責保険だけでは対物補償がないため、店舗の修理費用や自動車の修理費用に対する保険金は支払われません。

自動車保険は強制解除されることもある~強制解約される4つの理由

自動車保険会社は契約者に次のような理由があった場合、保険の強制解除をすることができます。

・保険料未納
・告知義務違反
・通知義務違反
・重大事由

それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。

保険料の未納があった場合

水道光熱費と同じように、保険料の支払いも滞納があれば強制解除されてしまいます。

多くの自動車保険は、滞納期間が2ヶ月を超えると契約が解除される可能性があります。

告知義務違反があった場合

告知義務とは、契約に重大な影響を与える項目について、事実を正確に告知することです。

自動車保険の契約時に求められる告知義務には、契約する本人(記名被保険者)の情報、契約する自動車の情報、免許証の色や年間の予定走行距離などが挙げられます。

告知義務のある情報は、保険会社が保険料を算定するときに必要な項目です。

契約時に虚偽の報告をして事実を伝えなかった場合、あるいは事実と異なることを伝えた場合は、告知義務違反として契約の強制解除、あるいは保険金が支払われないなどの可能性があります。

通知義務違反があった場合

通知義務とは、先ほどの告知義務のある事項について変更があった場合に、すみやかに保険会社に伝えることです。

自動車保険における通知義務には、たとえばナンバープレートの番号や車種の変更、契約者の住所の変更などが挙げられます。

通知義務のある情報も、保険料を算定するときに必要な項目です。

それらについて変更があった際に通知をしなかったり、虚偽の通知をしたりした場合は、契約の強制解除、あるいは保険料が支払われない可能性があります。

重大事由があった場合

重大事由とは、保険会社と契約者の信頼関係を破綻させるような重大な行為のことです。

たとえば、保険金目当てで故意に事故を起したり、事故について虚偽の申告をしたりした場合は、保険会社は信頼関係を破綻させるような「重大事由」があったとして、保険の強制解除ができるようになっています。

重大事由によって契約が解除された場合は、他の保険会社にも情報が共有され、自動車保険の契約ができなくなります。

さらに、すでに支払われている保険金については返還請される可能性が高いです。

まとめ

強制保険(自賠責保険)と任意保険の違い、および自賠責保険だけで自動車を運転することのリスクを紹介しました。

どれだけ用心して車を運転しても、交通事故を完全に防ぐことはできません。

いつ起こるかわからない交通事故のリスクに備えて、任意保険も付けておくことをおすすめします。

任意保険は、自動車の使用目的や主に誰が運転するかによって必要なものが変わってきます。

どれを付けたらいいか迷ったときは、保険会社に相談してみましょう。

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