自動車保険は当て逃げ対応もしてくれる?おりない?FPが教える車両保険と当て逃げについて解説

2019.03.23

自動車保険

「すれ違いざまに接触した車がそのまま逃げていってしまった」

「不在中に駐車場に停めていた車がぶつけられていた」

このような当て逃げは、相手方を特定することの難しい事故です。

加害者が事故現場から逃げてしまってわからない場合、被害者は相手に損害賠償を求めることができず、車の修理費用を自己負担せざるを得ません。

しかし、「車両保険」を付けていれば、当て逃げによって車が損壊しても保険金が支払われます。

本稿では当て逃げによる損害を補償する車両保険について、具体的なシミュレーションを交えながら徹底解説していきます。

目次

当て逃げによる被害は自動車保険を使える場合と使えないケースがある

当て逃げによる被害を補償してもらうためには、車両保険を付けておく必要があります。

車両保険とは、交通事故で自分の車が損壊した場合に修理代を補償するもので、契約者が任意で自動車保険に付けられます。

ただし、車両保険が付いていれば必ず当て逃げによる被害が補償されるわけではありません。

修理代が出るかどうかは、車両保険の「一般タイプ」と「エコノミータイプ」のどちらを付けているかが決め手となります。

一般タイプの自動車保険なら当て逃げによる被害も補償される!

一般タイプは「フルカバー」や「オールマイティ」と呼ばれるように、補償範囲が広いタイプの保険で、主に次のような被害について補償されます。

●車やバイクとの衝突・接触
●自転車との衝突・接触
●電柱や建物、ガードレールなどとの衝突・接触
●火災・爆発・台風・洪水など
●盗難・いたずら書き
●窓ガラスの損害・飛び石による損害
●墜落・転覆
●当て逃げ

参考→一般車両/一般車両保険|SBI損保

補償内容に当て逃げが含まれているように、一般タイプの車両保険であれば当て逃げで自分の車が損壊しても修理代が補償されます。

エコノミータイプの自動車保険は当て逃げをされても保障対象外

エコノミータイプはその名の通り、一般タイプと比べて補償範囲が狭い代わりに料金が安いタイプの保険で、主に次のような被害について補償されます。

●車やバイクとの衝突・接触
●火災・爆発・台風・洪水など
●盗難・いたずら書き
●窓ガラスの損害・飛び石による損害

参考→一般車両/一般車両保険|SBI損保

電柱やガードレールに衝突したり、車庫入れで車をぶつけたりする単独の事故、および当て逃げはエコノミータイプの車両保険では補償されません。

エコノミータイプの自動車保険でも当て逃げの犯人が見つかれば保障対象となる

当て逃げで損壊した車の修理費用は、自分が自動車保険に付けている一般車両保険でまかなうか、相手方の対物賠償保険で賠償するかのどちらかになります。

仮に当て逃げの犯人が警察に出頭するなどして特定されれば、エコノミータイプの車両保険でも保険金が出る可能性はあります。

つまり、自分が加入している車両保険がエコノミータイプでも、当て逃げの犯人が見つかり、なおかつ犯人が対物補償保険に加入していれば、保障の対象となるのです。

一般タイプの自動車保険に加入をしていて当て逃げをされた際の3つの注意点

当て逃げ被害は、一般タイプの車両保険を付けていれば必ず対応してもらえるというわけではありません。

警察に届け出を出さなければ保険会社は保障をしてくれない

当て逃げに遭った場合は、相手方がわからなくても必ず警察に届け出ましょう。

たとえ当て逃げの損害を補償する一般車両保険でも、届け出をしていなければ保険会社が保険金を支払ってくれない場合があります。

自動車保険の契約内容によっては免責金額が必要になる可能性もある

事故によって損壊した車を修理する費用の自己負担分を免責金額と言います。

車両保険を付ける際は必ず免責金額を選択する必要があります。

たとえば、当て逃げで自分の車に150,000円の修理費用がかかった場合、100,000円の免責金額が設定されていれば、

150,000円(修理費用)-100,000円(免責金額)=50,000円(保険金)

となります。

免責金額が高く設定されているほど保険会社は保険金を支払う負担が軽減されるため、保険料は安くなります。

当て逃げも自動車保険を使うと3等級ダウン事故扱いとなってしまう

自動車保険の等級は1~20等級に分かれており、等級が低いほど保険料は高くなります。

一般的な自動車保険は、加入後1年間を無事故で過ごすことができれば、翌年から等級が上がって保険料が安くなる(=割引率が上がる)という仕組みです。

保険会社の割引率や保険料は、損害保険料率算出機構が算出している「参考純率」をベースにして設定されています。

参考→自動車保険は等級によって割引率が変わるの?|チューリッヒ保険会社

当て逃げには自動車保険が使えるものの、3等級ダウン事故扱いとなっているため、保険料が高くなる(=割引率が下がる)というデメリットがあります。

当て逃げをされて自動車保険を使った場合のシュミレーション1

①被害者:年間100,000円の自動車保険に加入している20等級の運転者

②免責金額:80,000円

③修理代:240,000円

当て逃げの被害に遭ったときに一般車両保険を使用した場合、保険会社から支払われる保険金は

240,000円-80,000円=【160,000円】

となります。

事故無しの20等級は最も優良とされる等級で、複数の車両に同じ保険会社の保険をかけている、長年にわたって無事故・無違反を継続している優良ドライバーであるといった条件が求められます。

保険料の割引率も63%とかなりお得感がありますが、当て逃げの損害を一般車両保険でまかなった場合は、自分に非がなくとも保険会社からの評価が下がってしまいます。

さらに、3等級ダウンにより17等級(事故あり)となるため、事故から1年後の年間保険料は

100,000-38,000円=【62,000円】

となります。

自分にほとんど非がない当て逃げで等級ダウン、保険料アップは損でしかありません。

やむを得ない事情を除いては、当て逃げの加害者を特定し、相手方の自賠責保険で賠償してもらう方が得策と言えるでしょう。

当て逃げをされて自動車保険を使った場合のシュミレーション2

①被害者:年間120,000円の自動車保険に加入している6等級の運転者(初めての加入)

②免責金額:50,000円

③修理代:240,000円

当て逃げの被害に遭ったときに一般車両保険を使用した場合、保険会社から支払われる保険金は

240,000円-50,000円=【190,000円】

となります。

6等級は自動車保険に初めて加入した人の初年度の等級です。

学生で初めて車を取得した人などがこの等級からスタートするため、当て逃げによる損壊はかなりの痛手となります。

さらに、3等級ダウンにより3等級(事故あり)となるため、事故から1年後の年間保険料は

120,000-2,000円=【118,000円】

となります。

「事故あり」の等級は、事故を起こした翌年から3年間にわたって適用されます。

保険会社各社は等級ダウンの回避策として、保険の長期契約(1年以上の契約)などを提供しています。

東京海上日動の自動車保険は当て逃げでも保障される?基準と保障される保険金

東京海上日動のトータルアシスト自動車保険には、選べる車両保険の「一般車両保険」と「エコノミー車両保険」があり、当て逃げに対応しているのは一般車両保険の方です。

しかし、生命保険と損害保険がセットになった保険「トータルアシスト超保険」を付ければ、エコノミー車両保険ではカバーしきれなかった駐車中の当て逃げ被害も補償されるようになります。

すでにトータルアシスト超保険に加入済みで、お得に自動車保険を利用したい方向けの特約です。

参考→トータルアシスト超保険|東京海上日動

ソニー損保の自動車保険は当て逃げでも保障される?基準と保障される保険金

ソニー損保の車両保険には、補償範囲の広い「一般型」と補償範囲を限定した「エコノミー型」があり、当て逃げ(相手者不明)が保障されるのは一般型のみです。

車両が事故で壊れた場合の保険金は、契約時に設定した金額が上限です。

参考→車両保険|ソニー損保

損保ジャパンの自動車保険は当て逃げでも保障される?基準と保障される保険金

損保ジャパンの自動車保険『SGP』は、任意で付けられる車両保険に「一般条件」「車対車・限定危険」「限定危険」の3種類の契約タイプがあり、そのうち当て逃げを保証しているのは「一般条件」のみです。

支払われる保険金は全損の場合、契約時に決めた車両保険金額に上乗せして車両保険金額の10%(20万円限度)または10万円のいずれか高い額が支払われます。

全損以外の場合は、損害額から免責金額を差し引いた分が保険金として支払われます。

参考→一般自動車保険『SGP』補償内容:【ご自身】【お車・物】の補償|損保ジャパン日本興亜

三井住友海上の自動車保険は当て逃げでも保障される?基準と保障される保険金

三井住友海上の自動車保険「GKクルマの保険(家庭用自動車総合保険)」は、車両保険「10補償限定」特約をセットすると、相手方を特定できない当て逃げも補償対象となります。

参考→GK クルマの保険(家庭用自動車総合保険)お車の補償|三井住友海上

チューリッヒの自動車保険は当て逃げでも保障される?基準と保障される保険金

チューリッヒの自動車保険「スーパー自動車保険トップ」に付けられる車両保険は、「ワイドカバー型」と「限定カバー型」の2種類です。

相手がわからない当て逃げを補償するのは「ワイドカバー型」です。

事故によって車が全損した場合は、契約時の保険金額の全額+保険金額の5%(10万円以下)が支払われ、分損の場合は、修理費用から免責金額を差し引いた分が保険金として支払われます。

参考→チューリッヒの特長|チューリッヒ保険会社

JA共済の自動車保険は当て逃げでも保障される?基準と保障される保険金

JA共済の自動車共済「クルマスター」には車両補償として、当て逃げを含めた交通事故による車の損害を保障する「全損害担保」か、交通事故の補償範囲を限定した「損害限定担保」のいずれかを付けることができます。

当て逃げの損害が補償されるのは「全損害担保」です。

参考→自動車共済 クルマスター|JA共済

番外編~当て逃げをしてしまった!加害者となってしまった場合、自動車保険の等級や契約はどうなるのか

当て逃げは重大な交通違反であるため、決して感心できる行為ではありません。

当て逃げをしてしまった場合はすぐに警察に出頭すれば、事故の手続きを行ったうえで対物賠償保険を利用して相手の車の修理費用をまかなうことができます。

ただし、当て逃げをして現場から立ち去ってしまうと保険会社からの評価が下がり、示談交渉でも不利になってしまいます。

保険会社から厳しい評価を受けるということは、自動車保険の等級が下がるだけでなく、翌年の契約の更新すら危ぶまれるということを覚えておきましょう。

まとめ

当て逃げ被害に遭った場合はただちに警察へ届け出て、落ち着いて保険会社に事故の報告をすることが大切です。

自動車保険に一般型の車両保険を付けていれば、相手方が不明の当て逃げ被害に遭っても保険金をもらうことができます。

ただし、自動車保険の等級と保険料が上がってしまうため、保険を利用するかどうかは慎重に検討しましょう。

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