財形貯蓄は意味ない?メリット・デメリットや他の資産形成とFPの比較シミュレーション

2019.05.26

家計と暮らし

「財形貯蓄ってどんなもの?」「財形貯蓄のメリット・デメリットを知りたい」とお悩みではないでしょうか?

財形貯蓄制度とは、勤め先が従業員のために給料から天引きして貯蓄してくれる制度のこと。

毎月確実に一定額が貯まっていくため、貯蓄癖がない人にも続けやすい貯蓄制度だと言えます。

さらに、条件を満たせば非課税になったり住宅融資を受けられたりと嬉しいメリットもあります。

今回は、財形貯蓄の種類やメリット・デメリットについてお伝えしていきます。

iDeCo、NISAとの比較もまとめてありますので、ぜひ参考にしてみてください。

財形貯蓄を利用するための条件

財形貯蓄とは、会社が従業員のために給料から天引きして貯蓄してくれる制度のこと。

「財形貯蓄制度を導入している会社の勤労者」であれば、誰でも利用することができます。

ここでの「勤労者」とは「事業主に雇用される方すべて」を指しており、労働基準法が適用されない公務員や船員も含まれます。

アルバイト・パートタイマー・派遣社員であっても継続して雇用が見込まれる場合は、正社員と同様に財形貯蓄を利用できるのです。

参照サイト⇒勤労者財産形成事業本部

ただし、財形貯蓄制度の種類によっては年齢制限が設けられているものもあります。

具体的な制限については、次の段落にまとめましたので見ていきましょう。

財形貯蓄の3つの種類

財形貯蓄は、貯蓄の目的に合わせて「一般財形貯蓄」「財形住宅貯蓄」「財形年金貯蓄」の3種類に分かれます。

それぞれどういった財形貯蓄なのか、貯蓄の目的や税制優遇などについてご説明していきます。

①一般財形貯蓄

一般財形貯蓄の目的は「自由」です。

海外旅行やマイカー購入、結婚、子どの養育費などの資金準備として利用することができます。

加入条件は勤務先の勤労者であれば良く、積立期間は3年以上という決まりがあります。

貯蓄開始から1年以上が経てば払い戻しもできますが、他の財形貯蓄と違い税制優遇がないというデメリットがあります。

②財形住宅貯蓄

財形住宅貯蓄の目的は「住宅購入やリフォーム資金の準備」です。

加入条件は満55歳未満の勤労者と決まっており、55歳以上は利用することができません。

積立期間は5年以上で、預金(保険の場合は払込金額)は元本550万円まで非課税となります。

③財形年金貯蓄

財形年金貯蓄の目的は「老後の年金」です。そのため財形年金貯蓄の加入条件は、満60歳以降に年金として払い出すこと。

加入条件は満55歳未満、積立期間は5年以上です。預金の非課税枠は財形住宅貯蓄と合わせて元本550万円までです。

財形貯蓄の3種類比較表

「一般財形貯蓄」「財形住宅貯蓄」「財形年金貯蓄」の特徴をまとめたものが下記表です。

一般財形貯蓄 財形住宅貯蓄 財形年金貯蓄
貯蓄の目的 自由 住宅購入やリフォーム資金の準備 老後の年金として

(満60歳以降に払い出すことが条件)

加入条件 勤労者 満55歳未満の勤労者
積立期間 3年以上 5年以上
非課税枠 なし 預金:元本550万円まで

保険:払込額550万円まで

預金:元本550万円まで

保険:払込額350万円まで

その他 貯蓄開始から1年以上経てば払い戻し可能 併用可

財形貯蓄の3つのメリット

1.財形住宅融資を受けられる
2.給与天引き
3.非課税

財形貯蓄のメリット1つ目は「財形住宅融資を受けられる」ということ。

どの種類の財形貯蓄であっても、「財形貯蓄歴が1年以上」かつ「50万以上の財形貯蓄残高」があれば、自宅を購入・新築・リフォームする際に住宅融資を活用できます。

参照サイト⇒住宅金融支援機構 財形住宅融資

財形貯蓄のメリット2つ目は「給与天引き」ということ。

「貯蓄が苦手」「貯めようと思っていてもつい使ってしまう」といった人にも、継続しやすく貯めやすい制度だと言えます。

財形貯蓄のメリット3つ目は「非課税という税制優遇がある」ということ。

預金などは元本550万円まで税金がかかりません。ただし、一般財形貯蓄には非課税枠がない点は注意しましょう。

続いて、デメリットについてもお伝えします。

財形貯蓄の3つのデメリット

1.お金の使いみちが限られる
2.加入条件がある
3.いざという時にお金を引き出しにくい

財形貯蓄のデメリット1つ目は、「貯蓄したお金の使いみちが限られる」ということ。

一般財形貯蓄に限っては使いみち自由ですが、財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄はそれぞれ使いみちが限定されています。

財形貯蓄のデメリット2つ目は、「加入条件がある」ということ。

一般財形貯蓄は会社に勤める人であれば加入できますが、財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄は「満55歳未満」と年齢制限が加わります。

財形貯蓄のデメリット3つ目は、「いざというときにお金を引き出しにくい」ということ。

もし財形貯蓄を解約する場合は、勤務先企業に申し出が必要です。

しかし、そもそも財形貯蓄の目的が貯金であることを考えれば、解約のハードルが高いことはメリットだといえます。

財形貯蓄とiDeCo、NISAを比較したメリット・デメリット

財形貯蓄、iDeCo、NISAの特徴を比較した表が下記です。

財形貯蓄

(住宅・年金)

財形貯蓄

(一般)

iDeCo 一般NISA つみたてNISA
利用できる人 55歳未満の勤労者 勤労者(年齢制限なし) 20歳以上60歳未満のすべての人 20歳以上 20歳以上
使いみち制限 あり なし なし なし なし
税制優遇

(非課税枠)

・預貯金なら元利550万円まで

・保険であれば払込額385万円まで

なし 掛け金全額 毎年120万円×5年間 年間40万円×5年間
年間の積立(投資)上限額 なし なし 14.4〜81.6万円

(職業によって異なる)

120万円 40万円
積立期間 5年以上 3年以上 60歳まで 20年間(非課税で運用できる期間) 20年間(非課税で運用できる期間)
払出制限 用途以外でも払い出しはできるが税制優遇を受けられなくなる 1年経過後は自由 60歳まで不可 なし なし

参照サイト⇒勤労者財産形成事業本部

参照サイト⇒金融庁 NISAとは?

参照サイト⇒iDeCo公式サイト

財形貯蓄と定期預金の違い

定期預金は、まとまったお金が入った時などに期間を決めて銀行に預金するしくみです。

いつでも引き出せる普通預金と違って一定期間は引き出せないため、普通預金よりも金利は高めに設定されています。

一般的に、預入期間が長いほど、また預入金額が大きいほど金利は高くなります。

財形貯蓄と定期預金の大きな違いは、税制面での違いです。

財形貯蓄の場合は元利と金利の合計について一定額までは非課税となりますが(※一般財形貯蓄を除く)、定期預金の場合は利息については20.315%の税金がかかります。

また、財形貯蓄には住宅融資制度がありますが、定期預金にはありません。

このように財形貯蓄と定期預金を比較してみると税制面や融資制度の有無で違いがあるものの、どちらが優れていると一概に言えるものではありません。

たとえば税制優遇を受けられる財形貯蓄はお金の使いみちが決められていますので、使いみちを制限したくない場合は定期預金のほうが有利になるでしょう。

財形貯蓄にするか定期預金にするかは、貯蓄の目的に応じて使い分けるのがベターです。

財形貯蓄をすることで受け取れる利子と税金について

財形貯蓄をすることで受け取れる利子は元本550万円までは非課税です。

ただし、この優遇制度の適用は財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄の2つに限られ、一般財形貯蓄では適用されない点は注意が必要です。

また、財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄どちらも加入している場合は、その元本合計額が550万円であることが条件です。

種類ごとに550万円が非課税になるわけではないこともおさえておきましょう。

財形貯蓄を解約する際の手続き・注意点

財形貯蓄を解約する際は勤め先の会社に申し出が必要です。

契約した支店に自分で手続きに行く場合もありますが、まずは制度を導入している勤め先へ確認すると良いでしょう。

解約の注意点としては、利息に対して税金がかかってくるということ。

一般財形貯蓄の場合は、利息に対して20.315%の税金がかかります。

財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄の場合は、5年間をさかのぼって利息の全額に税金がかかります。

転職、退職時の財形貯蓄の手続き・注意点

転職や退職の場合、これまで加入していた財形貯蓄制度を引き継ぐことができます。

ただし、退職から2年以内の転職であることと、転職先の企業が財形貯蓄制度を導入していることの2つが条件です。

退職から2年経っても継続の手続きをしなかった場合や、転職先の企業が財形貯蓄制度を導入していない場合はこれまで加入していた財形貯蓄は解約という形になります。

財形貯蓄を導入している主な金融機関3社と金利の違い

財形貯蓄制度は都市銀行や地方銀行、労働金庫、信用金庫、保険会社などで導入されています。

参照サイト⇒財形制度取扱金融機関一覧

勤めている会社がこれらの金融機関と提携している場合のみ、財形貯蓄を利用することができます。

金利は金融機関ごとに異なるものの、0.010%前後で設定している金融機関が多いようです。

銀行名 金利
みずほ銀行 0.010%
三菱UFJ銀行 0.010%
三井住友銀行 0.010%

財形貯蓄に関連した4つの制度の概要

財形貯蓄制度の加入者には、住宅ローンや給付金などの制度があります。

この段落では、4つの制度をご紹介します。

財形持家融資制度

財形持家融資制度とは、財形貯蓄の残高に応じて低利で受けられる住宅ローンです。

新築および中古住宅の購入やリフォームに利用することができ、限度額は財形貯蓄残高の10倍以内(最高4,000万円)で、費用の90%相当額まで。

国と会社(事業主)が協力し、勤労者の持ち家取得を促進する趣旨の制度です。

参照サイト⇒厚生労働省 財形持家融資制度

財形給付金制度・財形基金制度

財形給付金制度とは、勤労者の財産づくりを奨励する趣旨の制度です。

制度の概要は、勤労者1人につき10万円を限度として会社が一定額の拠出を行い、7年経過ごとに拠出金と運用益の合計を給付金として社員へ支払うというもの。

社員は財産づくりのスピードアップをはかることができます。

参照サイト⇒厚生労働省 財形給付金制度

参照サイト⇒厚生労働省 財形基金制度

事務代行制度

事務代行制度とは、中小企業の財形に関する事務負担を軽減することと財形制度への加入促進をめざした制度です。

一定の基準を満たした団体を厚生労働省が事務代行団体として指定し、中小企業からの委託にもとづき財形事務の代行をおこないます。

参照サイト⇒厚生労働省 事務代行制度

財形貯蓄に関するQ&A

ここからは「財形貯蓄を行っている金融機関がつぶれたら?」「財形貯蓄の解約は会社にばれる?」という質問にお答えしていきます。

①財形貯蓄を行っている金融機関がつぶれたらどうなる?

財形貯蓄を行っている金融機関がつぶれた場合、加入している財形貯蓄の中で預金保険制度の対象となる預金などを用いているものは保護の対象となります。

保護される範囲は、1金融機関ごとに元本1,000万円までと破綻日までの利息です。

参照元⇒金融庁・預金保険機構 預金保険制度

②財形貯蓄を途中で解約したら会社にばれる?

財形貯蓄制度を解約する際は、会社へ申請をおこないます。財形貯蓄制度を導入しているのは会社だからです。

そのため、会社を通さずに(会社に知られることなく)、財形貯蓄制度を解約することはできません。

制度を利用している金融機関によっては支店窓口で解約できるものもありますが、給与からの天引きをストップする手続きはやはり会社がおこないます。

まとめ

財形貯蓄制度は会社が社員の給与から一定額を天引きし、貯蓄してくれる制度です。

住宅資金や年金など、お金の使いみちが決まっていれば非課税のメリットを受けることができます。

税制面以外でも、住宅ローンや給付制度などメリットのある制度を利用することができます。

ただ、当初の目的以外のことにお金をつかう場合や、中途解約する場合は5年をさかのぼって利息に税金がかかります。

メリットだけでなくデメリットや注意点をしっかり踏まえ、財形貯蓄制度を利用するようにしましょう。

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