教育資金贈与の非課税制度とは~改正・延長?対象者と所得制限について

2019.06.18

家計と暮らし

教育資金贈与の非課税制度はご存知でしょうか。

祖父母などからお孫さんが教育資金を贈与された場合に適用できる非課税措置のことです。

期限付きの制度でしたら2019年の税制改正で期限が延長されることになりました。

今回はこの非課税制度の内容や延長にあたっての改正点、実際に適用を受けた場合のメリット・デメリット、適用する場合の注意点や金融機関などについてわかりやすく説明していきたいと思います。

教育資金を贈与された際の非課税制度の特徴

教育資金贈与の非課税制度について、まずは概要を確認しましょう。

実はこの制度は2019年3月31日で終了となる予定だったのですが、期限が延長されて2021年3月31日まで延長されることになりました。

今後も延長されるのではないかという見通しを述べる方もいらっしゃいますが、延長される保証はどこにもありませんので、今回の記事を参考にしていただき、期限までにこの非課税制度を利用されるかどうかをご検討いただければと思います。

前置きが長くなりましたが、延長される前から公表されていた国税庁の案内文書を抜粋して紹介します。

祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし

平成25年4月1日から平成31年3月31日までの間に、30歳未満の方(以下「受贈者」といいます。)が、教育資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき、受贈者の直系尊属(祖父母など)から①信託受益権を付与された場合、②書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合又は③書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等で有価証券を購入した場合(以下「教育資金口座の開設等」といいます。)には、信託受益権又は金銭等の価額のうち1,500万円までの金額に相当する部分の価額については、金融機関等の営業所等を経由して教育資金非課税申告書を提出することにより贈与税が非課税となります。

その後、受贈者が30歳に達することなどにより、教育資金口座に係る契約が終了した場合には、非課税拠出額から教育資金支出額(学校等以外に支払う金銭については、500万円を限度とします。)を控除した残額があるときは、その残額はその契約終了時に贈与があったこととされます。

引用_国税庁ホームページ

上記の引用からポイントをまとめますと、

(1)祖父母から孫(30歳未満)への贈与であること
(2)信託等を設定するなどの条件を満たすこと
(3)教育資金1,500万円までが贈与税の非課税対象となること

どこまでが「教育資金」に当てはまるの?

教育資金贈与の非課税制度の概要について確認をしましたが、ではどういう用途であれば教育資金とみなされるのでしょうか。

これについても国税庁のガイドを引用して紹介しますので、ご確認ください。

教育資金とは?

(1)学校等に対して直接支払われる次のような金銭をいいます。

① 入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費又は入学(園)試験の検定料など

② 学用品の購入費や修学旅行費や学校給食費など学校等における教育に伴って必要な費用など

(注)「学校等」とは、学校教育法で定められた幼稚園、小・中学校、高等学校、大学(院)、

専修学校及び各種学校、一定の外国の教育施設、認定こども園又は保育所などをいいます。

(2)学校等以外に対して直接支払われる次のような金銭で教育を受けるために支払われるものとして社会通念上相当と認められるものをいいます。

<イ 役務提供又は指導を行う者(学習塾や水泳教室など)に直接支払われるもの>

③ 教育(学習塾、そろばんなど)に関する役務の提供の対価や施設の使用料など

④ スポーツ(水泳、野球など)又は文化芸術に関する活動(ピアノ、絵画など)その他教養の向上のための活動に係る指導への対価など

⑤ ③の役務の提供又は④の指導で使用する物品の購入に要する金銭

<ロ イ以外(物品の販売店など)に支払われるもの>

⑥ ②に充てるための金銭であって、学校等が必要と認めたもの

⑦ 通学定期券代、留学のための渡航費などの交通費

引用_国税庁ホームページ

上記の内容を確認すると、学校などの授業料のみならず、塾やスポーツなどの活動に対しても対象となり、幅広く活用できるようになっています。

しかしながら、当初の期限2019年3月31日から期限延長されて2021年3月31日となったわけですが、この延長にともない、非課税制度にも一部改正や適用範囲の明確化が図られましたので注意をしてください。

最新の税制改正によって変更になったポイントは?

さきほどご説明したとおり、教育資金贈与の非課税制度は2021年3月31日まで期限延長されましたが、2019年4月1日より一部内容が改正となりました。

改正の内容は当初の内容から制限される方向となっていますので、以下の文部科学省の案内文書からの引用とポイントをきちんと把握するようにしてください。

5.平成31年度からの改正事項

(1)信託等をする日の属する年の前年の受贈者の合計所得金額が 1,000 万円を超える場合には,当該信託等により取得した信託受益権等については,本措置の適用を受けることができないこととする。

(注)上記の改正は,平成31年4月1日以後に信託等により取得する信託受益権等に係る贈与税について適用する。

(2)教育資金の範囲から,学校等以外の者に支払われる金銭で受贈者が23歳に達した日の翌日以後に支払われるもののうち,教育に関する役務提供の対価,スポーツ・文化芸術に関する活動等に係る指導の対価,これらの役務提供又は指導に係る物品の購入費及び施設の利用料を除外する。ただし,教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講するための費用は除外しない。

(注)上記の改正は,平成31年7月1日以後に支払われる教育資金について適用する。

(3)信託等をした日から教育資金管理契約の終了の日までの間に贈与者が死亡した場合(その死亡の日において次のいずれかに該当する場合を除く。)において,受贈者が当該贈与者からその死亡前3年以内に信託等により取得した信託受益権等について本措置の適用を受けたことがあるときは,その死亡の日における管理残額を,当該受贈者が当該贈与

者から相続又は遺贈により取得したものとみなす。

① 当該受贈者が23歳未満である場合

② 当該受贈者が学校等に在学している場合

③ 当該受贈者が教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合

(注1)上記の「管理残額」とは,非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額のうち,

贈与者からその死亡前3年以内に信託等により取得した信託受益権等の価額に対応する金額をいう。

(注2)上記の改正は,平成31年4月1日以後に贈与者が死亡した場合について適用する。

ただし,同日前に信託等により取得した信託受益権等の価額は,上記(注1)の信託受益権等の価額に含まれないものとする。

(4)教育資金管理契約の終了事由について,受贈者が30歳に達した場合においても,その達した日において上記(3)②又は③のいずれかに該当するときは教育資金管理契約は終了しないものとし,その達した日の翌日以後については,その年において上記(3)②若

しくは③のいずれかに該当する期間がなかった場合におけるその年12月31日又は当該

受贈者が40歳に達する日のいずれか早い日に教育資金管理契約が終了するものとする。

(注)上記の改正は,平成31年7月1日以後に受贈者が30歳に達する場合について適用

する。

引用_文部科学省ホームページ

上記の改正内容をまとめますと、ポイントは以下の通りとなります。

受贈者の所得による対象外の設定

受贈者の前年の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、この非課税制度の対象外となります。

自分で1,000万円の所得があるのだから、教育資金を贈与されたとしても非課税までにする必要はないという考え方からの対象外です。

受贈者の年齢による対象外項目の追加

受贈者が23歳以上になった場合には先程紹介した教育資金のうち以下の項目については非課税の対象外となります。

(1)教育に関する役務提供の対価
(2)スポーツ・文化芸術に関する活動等に係る指導の対価
(3)上記の役務提供又は指導に係る物品の購入費及び施設の利用料

簡単にいいますとスポーツや芸術の習い事などは非課税の対象外としますということです。

ただし、23歳以上でも教育訓練給付金支給の対象となる教育訓練の受講費用は除外しないとしています。

これは教育訓練給付の趣旨が社会人を対象としたところにあるためと考えられます。

受贈者が在学中であった場合の期間延長

後ほど詳しく説明しますが、教育資金贈与の非課税制度の適用を受けるためには、緊急機関との所定の契約を取り交わす必要があります。

期限延長前はこの契約の受贈者の終了年齢が30歳と定められていましたが、受贈者が在学中であればこの終了年齢を40歳まで延長できることも明確化されました。

教育資金贈与の非課税制度のメリット・デメリット

ここで教育資金贈与の非課税制度のメリット・デメリットを確認していきましょう。

メリットはこれまで説明をしてきたとおり、所定の条件を満たすことで比較的税率が高いといわれる贈与税が非課税になることです。

また祖父母から孫へと贈与をすることで、祖父母から子供そして孫という二段階の相続などが回避できることもメリットといえるでしょう。

それではデメリットはどういった点にあるでしょうか。

教育資金贈与ということで、贈与した財産は教育関係の使途に限られることになります。

また贈与した後になにか不測の事態で資金が必要になったという場合でも、贈与してしまった教育資金を、緊急の場合とはいえ別の用途で使えることは出来ないので注意が必要です。

教育資金贈与の非課税制度を利用するための3つのステップ

それではここからは教育資金贈与の非課税制度を利用するための具体的な手順を紹介していきましょう。

利用するための手順は、大きく3つのステップにわかれています。

このステップについても正確な情報提供を期すため、国税庁のガイドを引用いたしましょう。

1.教育資金口座の開設等

この非課税制度の適用を受けるためには、教育資金口座の開設等を行った上で、教育資金非課税申告書をその口座の開設等を行った金融機関等の営業所等を経由して、信託や預入などをする日(通常は教育資金口座の開設等の日となります。)までに、受贈者の納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません(教育資金非課税申告書は、金融機関等の営業所等が受理した日に税務署長に提出されたものとみなされます。)。

なお、教育資金非課税申告書は、原則として、受贈者が既に教育資金非課税申告書を提出している場合には提出することができません。

※ 金融機関等とは、信託会社(信託銀行)、銀行等、証券会社をいいます。教育資金口座の取扱いの有無については、各金融機関等の営業所等にお尋ねください。

 

2.教育資金口座からの払出し及び教育資金の支払

 

教育資金口座からの払出し及び教育資金の支払を行った場合には、教育資金口座の開設等の時に選択した教育資金口座の払出方法に応じ、その支払に充てた金銭に係る領収書などその支払の事実を証する書類を、次の(1)又は(2)の提出期限までに金融機関等の営業所等に提出する必要があります(平成28年1月以降、領収書等に記載された支払金額が1万円以下で、かつ、その年中における合計支払金額が24万円に達するまでのものについては、教育資金の内訳などを記載した明細書を提出することができます。)。

(1) 教育資金を支払った後にその実際に支払った金額を口座から払い出す方法を選択した場合

領収書等に記載された支払年月日から1年を経過する日

(2) (1)以外の方法を選択した場合

領収書等に記載された支払年月日の属する年の翌年3月15日

※ 上記(1)又は(2)の教育資金口座の払出方法の選択は、受贈者が教育資金口座の開設等の時に行います。詳しくは、各金融機関等の営業所等にお尋ねください。

 

3.教育資金口座に係る契約は、次の(1)~(3)の事由に該当したときに終了します。

(1) 受贈者が30歳に達したこと

(2) 受贈者が死亡したこと

(3) 口座の残高が0(ゼロ)になり、かつ、その口座に係る契約を終了させる合意があったこと

上記(1)又は(3)の事由に該当したことにより、教育資金口座に係る契約が終了した場合に、非課税拠出額から教育資金支出額(学校等以外に支払う金銭については、500万円を限度とします。)を控除した残額があるときは、その残額が受贈者の上記(1)又は(3)の事由に該当した日の属する年の贈与税の課税価格に算入されます

((2)の事由に該当した場合には、贈与税の課税価格に算入されるものはありません。)。したがって、その年の贈与税の課税価格の合計額が基礎控除額を超えるなどの場合には、贈与税の申告期限までに贈与税の申告を行う必要があります。

引用_国税庁ホームページ

教育資金贈与の非課税制度の利用にあたっては、実務的には金融機関との契約を取り交わして書面を提出(一部は金融機関が代行、あるいは省略可能)することになりますので、詳細は金融機関の担当者に確認・相談をしながらすすめるのがポイントとなります。

教育資金贈与の非課税制度の適用が終了するのはこんな時

これまでの内容から、教育資金贈与の非課税制度の適用が終了するのは、以下の場合です。

(1)受贈者が30歳となった場合(ただし40歳まで延長の場合あり)
(2)受贈者の前年の所得が1,000万円を上回った場合
(3)受贈者が死亡した場合
(4)口座残高がゼロとなり契約を終了する合意がある場合

教育資金管理契約を結ぶことのできる金融機関3選

教育資金贈与の非課税制度の利用手順について先ほど説明しましたとおり、教育資金口座を開設する必要があります。

どのような金融機関で口座を開設するのがよいのでしょうか。

金融機関としての信頼性というのは前提条件となりますが、長期間にわたって教育資金を管理するための口座ですから、おすすめの金融機関を選ぶに際して利便性という観点でご紹介していきたいと思います。

三井住友信託銀行「孫への想い」

ポイントは教育資金の支払に関する利便性です。

最初に挙げた三井住友信託銀行の「孫への想い」は、教育費の支払いを口座から直接振込することが可能です。

しかしながら振込のために来店をする必要があります。(一部支払い後の請求であれば郵送の対応も可能。)

みずほ信託銀行「学びの贈り物」

みずほ信託銀行の「学びの贈り物」も教育費の支払いを直接振込することが可能です。ただし来店する必要があるのは三井住友信託銀行と同様です。

三菱UFJ信託銀行「まごよろこぶ」

三菱UFJ信託銀行の「まごよろこぶ」はインターネットで対応が可能であるのが利便性のポイントです。

しかしながら直接教育費の支払いはできず、受贈者のお孫さんへの払い出しとなります。

上記3つの金融機関に共通しているのは信託手数料はかかるものの、口座開設などの事務手数料が無料となっています。

それ以外はそれぞれの教育資金贈与という趣旨にちなんだサービスを展開しているので比較して選ぶようにされることをお勧めします。

もちろん住んでいる地域にこれらの金融機関が最寄りにないということがあると思いますが、その場合はなるべく来店しやすい距離にある金融機関を選ばれることをお勧めします。

教育資金贈与の制度を利用すべきか判断する3つのポイント

教育資金贈与の非課税制度を利用すべきかどうかを判断するポイントを以下の通り3つに整理しましたので、確認してください。

まずひとつめですが、教育資金贈与の金額が贈与する側にとって余裕資金であることが前提となります。

将来的に教育資金として孫に相続してもらえたらいいという気持ちは多くの方が抱いていいる心情だと思います。

しかしながら、あくまでも贈与資金となりますから、いったん制度を利用すると後戻りはできません。よくよく検討することが必要です。

ふたつめは、贈与を受ける側の必要性と管理の問題です。

教育資金贈与を受けることを拒むお孫さんはいらっしゃらないでしょうが、教育費は子と孫の賄えている場合に、教育資金贈与をすることで、習い事を無理に増やしたりすると、過密なスケジュールにさせてしまうことがあります。

本当にお孫さんに教育資金贈与が必要かどうかを検討することも大切です。

特に教育資金を使いきれずに受贈者が30歳になってしまうと制度終了で残った金額には贈与税がかかるので注意が必要です。

必要と考えられる教育資金の金額を冷静に見積もるようにしましょう。

みっつめは、家族関係の問題です。

お孫さんに教育資金が直接渡されることになるため、子がその分の金額を受け取れないということになります。

家族・身内なのだから機にすること無いのではないかというのは贈与する側の心持ちで、孫に直接資金が行ってしまう時の子の心情をよく考えないと、家族内に不協和音が響くということになりかねません。

子も含めて家族・身内でよくよく相談したうえで利用するようにしてください。

教育資金贈与の制度を利用する時の注意ポイント

教育資金贈与の非課税制度の利用手順については先ほど3つのステップで説明をしました。

ここでは制度を利用する上での実務的な観点と予定通りにいかなかった場合の注意点について説明をしておきたいと思います。

まず制度を利用する上では何といっても金融機関を選ぶ必要があり、金融機関の担当者と書類の作成や届け出の準備を行います。

金融機関の担当者が実務をきちんと理解して対応してくれるか、何かわからないときに親身に相談に乗ってくれるか、異動などで後任などの引継ぎはきちんとされるのか、などをチェックするようにしてください。

ただし金融機関の担当者と実務を進めるといっても、担当者任せにしてはいけません。

自分だけで不安な場合は、孫は未成年のことが多いでしょうから、子と一緒に手続きを進めるなどの対策も必要となってきます。

次に制度利用を途中で止めるということもあるでしょう。

実際に当初想定した金額を使わなかったということがあり得ます。

その場合、使いきれなかった資金に対しては贈与税がかかってしまいますので注意が必要です。

まとめ

教育資金贈与の非課税制度について、その内容や改正点、実際に適用を受けた場合のメリット・デメリット、適用する場合の注意点や金融機関などについて説明をしてきました。

贈与税が非課税になるということで安易に制度利用すると、自分自身の緊急資金が枯渇したり、結果的に資金が残って贈与税がかかってしまったりすることが発生します。

冷静に必要性を判断して賢く非課税制度を利用するようにしましょう。

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