個人年金とiDeCoの違いって?FPが教えるイデコと個人年金の比較とメリットデメリット

2019.04.12

個人年金保険

老後資金の蓄えとして、個人年金保険やideco(イデコ)へ加入する人が増えてきました。

この記事を読んでいる人の中にも「公的年金だけでは心配だから、他の方法でも老後資金の備えを始めたい」と考えている人が多いと思います。

しかし、個人年金保険とideco(イデコ)の違いが分からず、自分はどちらに加入したほうがいいのかお悩みなのではないでしょうか?

結論から先に言いますと、個人年金保険は「投資初心者だが、とりあえず蓄えを始めたい人」向け、ideco(イデコ)は「高所得の人」向けだと言えます。

本記事では、さらに詳しく個人年金保険とideco(イデコ)の違いやメリット・デメリットについてご説明します。

個人年金保険とideco(イデコ)9つの違い

個人年金保険もideco(イデコ)も私的に契約する年金制度です。

任意で加入するものですので、どの保険会社を選ぶか、毎月いくら払っていくかといったことも自分で決定します。

しかし、個人年金保険とideco(イデコ)は、積立期間や税金面での違いがいくつかあります。

まずは、個人年金保険とideco(イデコ)の概要をまとめた表をご覧ください。

個人年金保険 ideco(イデコ)
加入資格はあるか? 商品により異なる 20歳以上60歳未満のすべての人
掛け金いくらから始められるか? 商品により異なる 月額5,000円から
掛け金に限度額はあるか? なし 月額1.2万円〜6.8万円

(加入区分に応じて異なる)

掛け金は控除の対象になるか? 生命保険料控除の対象となる 小規模企業共済等掛金控除の対象となる
運用益に税金がかかるか? 非課税 非課税
受け取る時に税金がかかるか? 年金として受け取る場合:「雑所得」となる

一時金の場合:「一時所得」となる

年金として受け取る場合:「公的年金等控除」

一時金の場合:「退職所得控除」

受け取れる年齢の制限があるか? なし 原則60歳
年末調整の対象になるか? なる なる
受け取った金額について確定申告が必要か? 必要 必要

参考サイト⇒iDeCo公式サイト

参考サイト⇒国税庁

個人年金保険は保険会社や商品によってバリエーションがあるのに対し、ideco(イデコ)は加入資格や受取開始年齢など制限が多くあります。

上表で比較した違いをもとに、個人年金保険とideco(イデコ)メリット・デメリットについてそれぞれ見ていきましょう。

個人年金保険3つの特徴とメリット・デメリット

個人年金保険には、以下3つの特徴があります。

1.多様な選択が可能
2.掛け金は生命保険料控除の対象となるが控除額に上限がある
3.受け取った年金は雑所得扱いとなる

個人年金保険は後ほど説明するideco(イデコ)と比較すると、選択の自由度が高い仕組みだと言えるでしょう。

たとえば、加入資格や掛け金の上限は商品によってさまざまですので、希望に近い選択が可能です。

掛け金は生命保険料控除の対象となり、所得税と住民税が安くなります。しかし、掛け金全額が所得控除となるideco(イデコ)と異なり、控除額には上限があります。

また、受け取った年金は所得扱いとなり、課税対象です。

参考サイト⇒国税庁

ideco(イデコ)3つの特徴とメリット・デメリット

ideco(イデコ) には以下3つの特徴があります。

1.制約が多い
2.掛け金は全額所得控除の対象となる
3.受け取った年金も控除の対象となる

ideco(イデコ)は個人年金保険と比較すると、より制約が多い保険だと言えます。

たとえば、掛け金の限度額は就労形態によって定められています。

自営業者は月額6.8万円まで拠出できますが、公務員は月額1.2万円が限度です。

さらに同じ「会社員」であっても、勤め先に企業年金があるかどうか、勤め先が企業型DC(企業型確定拠出型年金)に加入しているかなどによっても限度額が変わってくるのです。

また、個人年金保険は中途解約することができますが、ideco(イデコ)は原則60歳になるまで引き出すことができません。

メリットとしては、個人年金保険と比較して節税効果が高いということ。

掛け金は全額が所得控除の対象ですし、受け取る際にも公的年金等控除または退職所得控除の対象となります。

参考サイト⇒iDeCo公式サイト

個人年金保険とideco(イデコ)はどっちを選択したらいい?

個人年金保険とideco(イデコ)の特徴をお伝えしましたが、どんなタイプの人がどちらを選ぶとよりメリットが得られるのでしょう?

ここからは、個人年金保険、ideco(イデコ)それぞれを選択した方が良い人のタイプを伝えていきます。

個人年金保険を選択した方が良い人のタイプ2つ

1.投資初心者の人
2.中途解約する可能性がある人

個人年金保険を選択した方が良い人のタイプ1つ目は、「投資初心者の人」。

ideco(イデコ)の場合、投資先を自分で選ぶ必要がありますが、個人年金保険の場合はその必要がありません。

運営会社が投資先選びから運用までを行ってくれるためです。

個人年金保険を選択したほうが良い人のタイプ2つ目は「中途解約する可能性がある人」。

ideco(イデコ)の場合、原則60歳までお金を引き出すことができませんが、個人年金保険の場合は中途解約が可能だからです。

もちろん、老後の生活費補填が目的である以上、容易に引き出せないほうが目的を達成しやすいです。

しかし、現在の収入や貯蓄の程度を考慮し「万一の場合の備えがない」と心配が残る方にとっては、個人年金保険のほうが始めやすいと言えるでしょう。

ただし、中途解約すると元本割れする点はおさえておきましょう。

ideco(イデコ)を選択した方が良い人のタイプ3つ

1.所得の多い人
2.60歳まで掛け金を払い続けられる人
3.商品の選択を自分でできる人(投資信託経験のある人)

ideco(イデコ)を選択した方が良い人のタイプを一言で言うと、「所得が多く、投資信託経験がある人」です。

なぜ所得が多い人がideco(イデコ)を選ぶべきかと言いますと、個人年金保険と比較しideco(イデコ)のほうが節税効果が期待できるからです。

まず、掛け金は全額所得控除の対象ですし、受け取る年金も控除対象となり収める税金が安くなります。

おさらいになりますが、個人年金保険の場合、掛け金の控除額には上限がありましたし、受け取り時は雑所得または一時所得の扱いとなるのでしたね

また、ideco(イデコ)は投資信託先を自分で選ぶ必要があるため、経験のある人にとってはより有利に運用できる可能性があります。

個人年金保険とideco(イデコ)を併用するという選択肢もある

個人年金保険とideco(イデコ)は併用が可能です。

個人年金保険にしてもideco(イデコ)にしても、掛け金は控除の対象となります。しかし、税率や上限の有無で異なります。

また、受け取る年金について、個人年金保険は控除の対象ではありません。

節税効果を高めたければ、掛け金全額が所得控除の対象となるideco(イデコ)へ多めに掛けるというのも1つの手ですね。

個人年金保険・ideco(イデコ)に加入した場合のシミュレーション

【モデル】

年齢 30歳
性別 男性
年収 500万円
所得税率 10%
住民税率 10%

参考サイト⇒国税庁

ここからは、30歳男性をモデルに、4パターンのシミュレーション結果を見ていきます。

1.個人年金保険に加入した場合のシュミレーション
2.ideco(イデコ)に加入した場合のシュミレーション
3.個人年金保険とideco(イデコ)を併用した場合のシュミレーション
4.個人年金保険とideco(イデコ)どちらも加入しなかった場合のシュミレーション

さっそくひとつずつ見ていきましょう。

個人年金保険に加入した場合のシュミレーション

毎月の掛金 1万円
所得税の控除額 40,000円
住民税の控除額 28,000円
税金の控除額合計 68,000円
1年間の節税額(還付・減額される金額) 6,800円

30歳男性モデルが毎月1万円ずつ保険料として支払った場合、1年間で税金を6,800円安くおさえることができます。

ideco(イデコ)に加入した場合のシュミレーション

毎月の掛金 1万円
所得税の控除額 120,000円
住民税の控除額 120,000円
税金の控除額合計 240,000円
1年間の節税額(還付・減額される金額) 24,000円

30歳男性モデルが毎月1万円ずつ保険料として支払った場合、1年間で税金を24,000円安くおさえることができます。

個人年金保険の6,800円と比較して、3.5倍以上高い金額が節税できていることが分かります。

個人年金保険とideco(イデコ)を併用した場合のシュミレーション

個人年金保険とideco(イデコ)が併用可能であることはすでにお伝え済みですが、併用した場合の控除額が気になる人もいると思います。

「控除額に限度があるのでは?」「どちらか1つに入っておいたほうが控除枠を使い切れるのでは?」などと想像するかも知れません。

結論から言いますと、個人年金保険とideco(イデコ)の控除枠はそれぞれ別枠として使うことができます。

つまり、30歳男性モデルが毎月1万円ずつ保険料として支払った場合、個人年金保険の掛け金として68,000円の控除が、ideco(イデコ)の掛け金として240,000円の控除が受けられるというわけです。

この場合、1年間の節税額は30,800円です。

なぜ双方の控除を受けられるかと言うと、これまで見てきたように、そもそも控除枠が異なるためです。

  • 個人年金保険→「生命保険料控除」の枠
  • ideco(イデコ)→「小規模企業共済等掛金控除」の枠

個人年金保険とideco(イデコ)どちらも加入しなかった場合のシュミレーション

個人年金保険とideco(イデコ)どちらも加入しなかった場合は、上記3パターンで見てきた控除を受けることができません。

3パターンの比較をかねて表にまとめてみました。

個人年金保険に加入した場合の節税額 6,800円
ideco(イデコ) に加入した場合の節税額 24,000円
併用した場合の節税額 30,800円
いずれも加入したなかった場合の節税額 0円

個人年金保険やideco(イデコ)と比較されるNISAって?

税金が安くなるしくみとして、NISAも挙げられます。

金融庁のホームページによると、NISAは以下のように説明されています。

NISAとは、2014年1月にスタートした、個人投資家のための税制優遇制度です。NISAでは毎年120万円の非課税投資枠が設定され、株式・投資信託等の配当・譲渡益等が非課税対象となります。

引用⇒金融庁|NISAとは?

NISA4つの特徴とメリット・デメリット

1.NISA口座で購入した金融商品が最大600万円まで非課税になる(年間120万円×5年間)
2.NISA口座は1人につき1口座までしか開設できない
3.現在保有している金融商品をNISA口座へうつすことはできない
4.NISA口座と他の口座の損益通算はできない

参考サイト⇒金融庁|NISAの基礎知識

NISAの最大の特徴(メリット)は、NISA口座で購入した株式や投資信託が年間120万円まで非課税になるということ。

一方で、現在保有している金融商品を非課税口座へうつすことができなかったり、他の口座との損益通算ができなかったりといったデメリットがあります。

まとめ

個人年金保険とideco(イデコ)の特徴や違いを比較してきました。

個人年金保険は「投資初心者だが、とりあえず蓄えを始めたい人」向け、ideco(イデコ)は「高所得の人」だと言えます。

節税効果が高いのはideco(イデコ)ですが、個人年金保険との併用によりさらに税金控除額をアップすることができます。

ただし、個人年金保険は受け取り時に課税されますので、併用の際は掛金の額や配分を考慮しておくと良いでしょう。

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