医療保険とは~公的医療保険と民間医療保険の種類の違いや仕組み

2019.02.04

保険商品

医療保険や公的医療保険と民間医療保険に分けられますが、あなたは違いについてしっかり理解していますか?

「健康保険料って何のために引かれてるの?」

「よくわからないけどとりあえず民間の医療保険に入っている」

という方もの多いのではないでしょうか。

そこで今回は、公的医療保険と民間医療保険の仕組みや種類などの違いについてまとめてみました。

この記事を読むことで、公的医療保険と民間医療保険の違いが理解できるようになり、余分な保険料を削って節約に繋げられる可能性があります。

ぜひ最後までご確認ください。

医療保険には公的医療保険と民間医療保険がある

公的医療保険は、最低限の医療を受けられるための制度ですが、民間医療保険は、公的医療保険をカバーするために販売されている保険商品です。

このため、運営元や加入条件などの仕組みなどが異なるため、全く別物といっても過言ではありません。

違いを表にまとめると以下の通りです。

公的医療保険 民間医療保険
運営元 ・健康保険組合など ・民間の保険会社
役割 ・最低限の保障を確保 ・公的医療保険の補佐

・個人が希望する保障の強化

保障内容 ・医療費の自己負担が3割、さらに上限額以上は自己負担しなくて良い

・組合による違いはあまりない

・入院や手術を受けた場合に給付金や保険金が受け取れる

・保険会社によって内容がかなり異なる

加入条件 強制加入 任意加入(健康状態によっては加入できない場合がある)
保険料 収入により決定 年齢や保障内容により決定

商品によっても異なる

給付方法 医療機関の窓口で医療費の3割を負担するのみ 加入先の保険会社に請求する

それぞれについて詳細を解説していきます。

公的医療保険は最低限の医療を受けるための制度

公的医療保険は、日本国民に最低限の医療を受けてもらうために運営されており、全員加入しなければいけません。

このため、会社勤めの方は、組合の健康保険に加入し、自営業やフリーランスの方は、国民健康保険への加入が必要です。

保障内容は、健康保険組合によって大きな差はなく、保険料は個人の収入の額で決まります。

基本的に保険金や給付金を請求しなくても、病院やクリニックなどに健康保険証を持参して受診すると、窓口で支払う医療費が実際にかかった医療費の3割の自己負担ですみます。

民間医療保険は保険会社が販売する金融商品

反対に民間医療保険は、保険会社が営利目的で販売している金融商品ですので、加入するかどうかは個人の自由。

しかし、民間医療保険に加入することにより、公的医療保険ではカバーできない部分も保障され、医療費が高額になってしまった場合でも安心です。

保障される内容は、加入する保険によって異なり、保険料も契約者や被保険者(保険の対象になる人)の年齢や性別、保障される内容によって変わってきます。

保険金や給付金を請求するときは、保険会社に連絡をし、請求書を書いて提出が必要。

保険会社によっては、契約者1人ひとりに営業職員が担当者としてつき、保険の請求などのアフターフォローを担当してくれます。

ただし、契約者や被保険者の健康状態によっては、加入を断られる場合があるので注意しましょう。

医療保険制度の仕組みについて

医療保険制度は、国民全員を強制的に保険に加入させることによって、少ない負担で医療を受けられるようにするという仕組みです。

この仕組みを「国民皆保険制度」といいます。

医療費は、風邪の通院などの金額が低いものから、重い病気での入院や手術、療養など高額になるものなど様々。

国民の医療費が高額になった場合でも、国の制度や補助を受けられるため、安心して暮らしていけるでしょう。

国民皆保険制度の特徴

国民皆保険制度は以下の4つの特徴があります。

① 国民全員を公的医療保険で保障。

② 医療機関を自由に選べる。(フリーアクセス)

③ 安い医療費で高度な医療。

④ 社会保険方式を基本としつつ、皆保険を維持するため、公費を投入。

※引用:厚生労働省

簡単にいうと、誰もがどこでも安くて高度な医療を受けることができ、場合によっては税金も投入されるので、なかなか破綻しない制度といえます。

この国民皆保険を通じて「国民の安全・安心の暮らしを保障」していく仕組みです。

医療保険が全て任意加入の国もある

アメリカでは、医療保険は全て任意加入のため、医療保険に加入していない方も多いです。

そして医療保険に加入していない人が病気にかかってしまった場合に、高額な治療費が支払えず自己破産する人も存在します。

このため、日本は全員、健康保険に加入しているため、比較的恵まれていると言えますね。

公的医療保険の仕組みや種類と対象内・対象外の病気

公的医療保険に加入すると「健康保険証」が交付され、さまざまな保障が受けられるようになります。

公的医療保険の保障の種類

公的医療保険に加入すると以下のような保障を受けることができます。

☆自己負担は医療費の3割程度

病院などの医療機関で発生した医療費のうち、自己負担する金額が3割となります。

医療費は、診療項目毎に「診療報酬点数」が決まっており、この点数×10円が治療にかかった医療費です。

しかし、健康保険証を提示することで、実際に支払う額は医療費の3割のみでよくなります。※ちなみに未就学児童と70歳以上の自己負担は2割です。

☆高額療養費制度

入院や手術をした場合に、医療費の自己負担分が所定の上限額を超えると、超えた分は健康保険組合から支給される制度です。

上限額は、その人の収入によって以下の表のように変わります。

適用区分 ひと月の上限額(世帯ごと)
 

年収約1,160万円~

健保:標報83万円以上

国保:旧ただし書き所得901万円超

252,600円+(医療費-842,000)×1%
 

年収約770~約1,160万円

健保:標報53万~79万円

国保:旧ただし書き所得600万~901万円

167,400円+(医療費-558,000)×1%
 

年収約370~約770万円

健保:標報28万~50万円

国保:旧ただし書き所得210万~600万円

80,100円+(医療費-267,000)×1%
 

~年収約370万円

健保:標報26万円以下

国保:旧ただし書き所得210万円以下

57,600円
 

住民税非課税者 35,400円

参考⇒厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」

例えば、平均的な年収の世帯(表のウ)の人が、1ヶ月の医療費に100万円かかった場合、

80,100円+(1,000,000-267,000)×1%=87,430

となるので、この額を超えた分は自己負担する必要はありません。

また表にもあるように、上限額はひと月の金額ですので、月をまたいで入院した場合は

リセットされてしまうので、注意しましょう。

☆出産一時金

子供を出産した際に、42万円が支給される制度。

自然分娩の場合、治療を目的とした治療ではないため、自己負担は3割ではなく全額自己負担です。

一般的に出産費用は平均で50万円程度かかりますが、出産一時金があるおかげで、全額自己負担する必要がなくなります。

保障の対象内・対象外の病気

公的医療保険は、治療を目的とした医療行為であれば基本的に全て対象です。

しかし中には保障の対象外のものもあり、例えば以下のものが挙げられます。

☆差額ベッド代や食事代

例えば入院した際に、個室に入室すると1泊数千円の差額ベッド代が発生します。

また、入院中の給食代なども全て自己負担です。

☆先進医療

厚生労働大臣より、先進医療と認定を受けたものが対象で、平成31年1月現在で約90種類あります。

先進医療は高額になるケースが多く、例えばがん治療の際の、陽子線治療や重粒子線治療は医療費が数百万円にもなることも珍しくありません。

また、先進医療を受けられる施設は、大学病院や特定の医療施設など、設備が整った場所のみですので注意しましょう。

公的医療保険4つの種類

公的医療保険は、3種類の被用者保険(職域保険)と地域保険(国民健康保険)に分けることができます。

それぞれについて解説していきます。

被用者保険(職域保険)

民間企業に勤務する会社員や公務員、船員などが加入する公的医療保険です。

保険料は、雇用先(企業や団体など)と折半するため、従業員の保険料負担は半額のみとなります。

また、一定の収入以内の家族がいる場合は、扶養内に入れることにより、保障の対象とすることが可能。

さらに、国民健康保険と比べて給付内容が優れており、以下の給付が受けられます。

・傷病手当金:病気やケガなどで休職した場合に支給

・出産手当金:出産の伴い、会社を休んだ場合に支給

・付加給付:高額療養費制度よりもさらに医療費の自己負担が少なくなる

※付加給付を実施していない健康保険組合もあります

それぞれの被用者保険の特徴は次の通りです。

☆健康保険

企業に勤める会社員や日雇労働者などが加入できる公的医療保険で、全国健康保険協会〔協会けんぽ〕と組合管掌健康保険(組合健保)があります。

まず、全国健康保険協会(協会けんぽ)の特徴は以下の通りです。

・中小企業の従業員とその家族が対象

・保険料率は組合健保に比べて高め

・「付加給付」などの一部の保障が受けられない

・加入者数は約3,800万人で総人口の約30%を占める

全国健康保険協会管掌健康保険 平成28年度事業年報

続いて、組合管掌健康保険(組合健保)には以下のような特徴があります。

・大企業やグループ会社の従業員とその家族が対象

・単一型(社員数が700人以上の企業が単体で設立)と総合型(同業種の企業の社員の合計が3,000人以上の場合に共同で設立)の2種類がある

・保険料や保障内容は組合によって異なるが、協会けんぽより優れている場合が多い

また近年では大企業であっても、あえて健康保険組合を持たない、もしくは解散して協会けんぽに移行する事例が増えています。

☆共済組合

国家公務員や地方公務員、私学教職員は、職種に応じた共済組合に加入し、公的医療保険に加入します。

公務員の場合の健康保険は短期給付といわれ、保健給付、休業給付、災害給付の3種類に別れています。

基本的な保障内容は同一ですが、公務員向けの付加給付は、企業の健康保険の付加給付と比べて、医療費の自己負担の上限額がさらに少なくなるものもあります。

☆船員保険

その名の通り、船舶の船員などが加入する公的医療保険制度で、現在は協会けんぽが運営しています。

基本的に企業の健康保険と給付内容はほぼ同じですが、独特な給付も存在します。

・自宅以外で療養した場合の宿泊費や食事代が支給される

・傷病手当金が初日から給付される(通常は3日後)

・職務上で1ヶ月以上行方不明になった場合の「行方不明手当金」

以上のように、船舶の船員を対象としているだけあって、保障内容も職務内容に合わせた内容なのが特徴です。

国民健康保険

主に自営業やフリーランスが加入する公的医療保険で、お住まいの市町村役場で加入の手続きができます。

保険料は全額自己負担で、家族がいた場合、人数分の保険料を払わなければいけないため、被用者保険よりも保険料が高額になる場合が多いです。

会社員の健康保険と違い、傷病手当金や出産手当金、付加給付などがないため、注意しましょう。

民間医療保険4つの種類

民間保険には以下の4種類があり、保障される期間や内容、引き受けの条件などが違います。

まず。民間医療保険の保障内容は、例えば、以下のようなものがあります。

・入院給付金;入院した日数に応じて支払われる給付金

・手術給付金:受けた手術に応じた受け取れる給付金

・通院給付:退院後に通院した場合に受けられる保障

・診断一時金:がんや特定の疾病と診断確定された場合に

それでは医療保険の種類についてそれぞれについて解説していきますね。

終身医療保険

被保険者が亡くなるまで、生涯にわたって、医療保障を受けられるのが大きな特徴です。

また、加入した時から保険料がずっと変わらないものが多く、年齢の上昇とともに保険料が上がりません。

ただし、途中で保障内容を変更しにくく、解約しても返戻金を受け取れないものもあるため注意しましょう。

定期医療保険

その名の通り、保険期間が定まっている医療保険のことで、保障が受けられる期間は、一定の年齢までとなります。

また、10年毎など決まった期間で契約更新をするものもあり、更新のタイミングや、その間でも保障内容を見直すことができます。

その場合は、更新時や保障内容を変更した時点での年齢で保険料が再計算されるため、負担が増加するため、注意しましょう。

がん保険・三大疾病保険

がんや心筋梗塞、脳卒中などの特定の疾病にかかってしまった場合に保険金や給付金を受け取れる保険。

特定の疾病での入院時に、入院給付金の受け取りや、特定の疾病だと診断されたときに、一時金で保険金を受け取れるのが特徴です。

また、入院給付金が給付される日数に制限がないものもあるため、大病を患った場合に治療費が高額になっても安心です。

引受基準緩和型、無選択

持病がある方や、健康状態に心配がある方が加入できる保険です。

民間医療保険は、加入する時に、自分の健康状態を告知して、審査を受ける必要があります

しかし持病がある場合や、過去に大きな病気を患っている場合などは、医療保険に加入できません。

引受基準緩和型や無選択の医療保険は、健康状態の引き受けの基準が緩い、もしくは告知なしで加入できるため、健康状態が心配な方でも医療保障を準備することができます

ただし、通常の医療保険と比べて保険料が高くなるため注意しましょう。

民間医療保険のメリットと加入率や必要性

民間医療保険には、公的医療保険にはないメリットがあるため、加入率も高いのですが、必要性については人によって異なります。

それぞれ確認していきましょう。

民間医療保険のメリット

民間医療保険のメリットは以下の3つが挙げられます。

☆保障を選んで加入できる

民間医療保険は、自分に必要な保障のみを選んで加入することができます。

その理由は、民間医療保険は、販売している保険会社や保険商品によって準備されている保障内容や、力を入れている分野が異なるからです。

例えば、以下のような選び方が可能です。

・入院したときにかかる費用が心配

→入院保障を充実している医療保険

・保険料の負担を一定にして医療保障を確保したい

→終身医療保険に加入する

・がんなどの大きな病気が心配

→がん保険や重大な疾病が保障される保険に加入する

公的医療保険は、自分に働き方によって、加入する健康保険組合や保険の種類がかわるため、自由に保障を選ぶことはできません。

しかし、民間医療保険であれば、加入する医療保険や保険会社を自由に選べるため、自分にとって必要な保障を選んで準備することができます。

☆様々な病気に備えることができる

民間医療保険で保障される範囲は広く、様々な病気に備えることができます。

公的医療保険は、医療費のうち保障の対象外のものもありますが、民間医療保険で、様々な特約を付加することができ、幅広い治療に備えることが可能です。

例えば「先進医療特約」を付加すると、先進医療を受けた場合に最大で数千万円の保障を受けられます。

このため、高額な医療費を自己負担することなく、先進医療を受けられので、メリットと言えるでしょう。

☆税金の負担も軽くなる

民間医療保険に加入すると、所得税や住民税の額を少なくできます。

なぜなら、支払った保険料は「生命保険料控除」の対象となり、支払った保険料の額に応じて、一定額が所得金額から差し引かれることで、所得税や住民税の額を減らすことが可能です。

ただし、会社員や公務員は「年末調整」、自営業やフリーランスは「確定申告」の際の申請を忘れないようにしましょう。

民間医療保険の加入率

民間医療保険の加入率はとても高く、生命保険(個人年金含む)の世帯加入率は88.7%、そのうち医療保険の世帯加入率は88.5%が加入しています。

参考⇒生命保険文化センター「平成30年度「生命保険に関する全国実態調査

つまり、国民のおよそ10人のうち8人が加入しているため、とても高い加入率であること言えるでしょう。

ちなみにがん保険・がん特約の世帯加入率は、生命保険加入世帯のうちの62.8%が加入しており、国民の2人に1人は加入しているので、加入率はとても高いですね。

民間医療保険の必要性

民間医療保険は、必要性が高いように感じますが、必須でありません。

理由は、医療費の自己負担分が自分で支払えるのであれば、無理に民間医療保険に加入する必要はありません。

そもそも保険は「自分では準備できないような額のお金が必要になったときに備えてお金を準備する手段」です。

そして日本の公的医療保険は、とても優れているので、医療費の自己負担は多くの場合、数万円くらいしかかかりません。

このため、民間医療保険は、以下の場合に必要といえます

・貯蓄がなく数万円の医療費の負担が家計をかなり圧迫する

・自分が家族の中で稼ぎ頭であり入院して収入が少しでも減ると生活にかなりの支障がでる

逆に言うと上記に該当しないのであれば、無理に加入しなくてよいでしょう。

医療保険と年末調整

民間医療保険に加入していた場合、年末調整をすると税金の負担を減らせる可能性があります。

先ほどもお伝えした通り、民間医療保険に加入していると、生命保険料控除を受けられるので、所得税や住民税の額が減らすことが可能です

ただし、年末調整の際には、保険会社から届く、「控除証明書」をもとに所定の書類を記入し、控除証明書の原本も提出する必要があります。

控除証明書は、ハガキや手紙のような形をしているため、間違って捨てないようにしましょう。

そのハガキには数万円の価値があるかもしれません。

まとめ

医療保険には公的医療保険と民間医療保険があり、それぞれ全く異なる特徴があります。

特に重要なのは、以下の3点です。

・民間医療保険保険は、公的医療保険を補佐するために加入する

・公的医療保険だけでも十分な医療保障を得ることができる

・民間医療保険は無理に加入する必要はない

この関係性をしっかり理解して、民間の医療保険を選ぶことで、余分な出費を減らし自分にとって必要な保障だけを確保していきましょう。

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