扶養の範囲内はいくら?パートで働ける時間や年収と計算方法

2019.05.24

家計と暮らし

「扶養の範囲内」で働くには、年収の上限などいろいろと条件があります。

また、平成30年の税制改正によって扶養の範囲内で働く際の条件がいくつか変更されました。

配偶者控除・配偶者特別控除の給与上限が拡大された一方で、扶養者(夫)側の給与にも上限が設けられたのです。

夫が高所得者でその対象となる場合には、妻側が扶養の範囲内で働いたとしても、税金や社会保険で控除を受けることができないことになりました。

この記事では、最新の扶養の範囲内で働く際の条件と、扶養の範囲内で働くことのメリット・デメリットなどを詳しく紹介していきます。

パート・アルバイトで働くとき扶養の範囲内にするには年収いくらか?

パート・アルバイトで働くときに扶養の範囲内におさまる年収は、扶養者と被扶養者それぞれの年収により異なります。

平成30年から施行されている所得税法では、以下5つのボーダーがあります。

それぞれを詳しく紹介していきます。

年収103万円のボーダー

被扶養者の年収が103万円以下の場合には、配偶者もしくは親から扶養されている人として税金の控除を受けることができます。

配偶者に扶養されている場合には、最高で38万円が配偶者の所得から控除される「配偶者控除」が適用されます。

また、親に扶養されているということであれば、16歳以上70歳未満で特定扶養親族に該当しない場合には38万円、19歳以上23歳未満の特定扶養親族は63万円が控除されます。

平成30年の所得税法改正から、扶養者の年収によって配偶者控除の控除額が次のように区分されています。

  1. 扶養者の年収が1,120万円以下は38万円控除
  2. 扶養者の年収が1,120万円以上1,170万円以下は26万円控除
  3. 扶養者の年収が1,170万円以上1,220以下は13万円の控除
  4. 扶養者の年収が1,220万円以上は配偶者控除適用外

なお、扶養控除については、法改正前と同じく扶養者の年収要件はなく、扶養者の年収がいくらであっても上に記した通りの控除を受けることが可能です。

年収106万円のボーダー

パートやアルバイトの年収が約106万円(1ヶ月あたりの賃金が8.8万円)以上になると、下記の一定の条件を満たす場合には、勤め先で導入されている健康保険と厚生年金に加入しなければなりません。

【社会保険の適用条件】

・所定労働時間が週20時間以上である
・1ヶ月の賃金が8.8万円〈※1〉(年収約106万円以上である)
・勤務期間が1年以上の見込みがある
・勤務先の従業員が501人以上(厚生年金の被保険者数)の企業である〈※2〉
・学生は対象外である(夜間や定時制など、加入対象となる学生もいる)

※1:以下は1ヶ月の賃金から除外することができる

平成28年10月に施行された社会保険に関する法律です。

健康保険と厚生年金に加入すると、給料からの天引きになるため、手取り収入が減ることになります。

一方で病気やケガの際や、将来の年金額の増加などのメリットもあるため、メリットとデメリットを照らし合わせながら調整が必要となるでしょう。

年収130万円のボーダー

年収106万円以上で勤め先の社会保険に加入しなければならない人を除き、年収130万円未満の人は、社会保険上の扶養に該当することになります。

該当者は、配偶者や親が加入している健康保険の被扶養者になることができ、健康保険料を自分で支払う必要がなくなります。

また、国民年金は、20歳以上60歳未満の国内に住んでいる全ての人が加入しなければなりません。

しかし、厚生年金に加入する配偶者に扶養される人は、国民年金の第3号被保険者となり、自分で保険料を納めることなく将来の年金をもらうことができるようになっています。

年収が130万円以上になると、社会保険の扶養から外れます。

そうなると、国民保険もしくは勤め先の健康保険に加入して、自分で保険料を支払わなくてはなりません。

また、国民年金の第3号被保険者であった人は第1号被保険者となるため、国民年金保険料も自ら支払わなくてはならなくなります。

年収150万円のボーダー

平成30年の所得税法改正により、配偶者特別控除が適用される被扶養者の年収上限が上がりました。

それ以前は、年収103万円以上141万円以下が配偶者特別控除の適用される年収でした。

しかし、所得税法の改正によって、103万円以上201.6万円未満になったのです。

このうち、103万円以上150万円以下の場合は、配偶者控除と同額である最高38万円の控除を受けることができます。

なお、配偶者特別控除も配偶者控除と同じく、扶養者の年収区分によって、配偶者特別控除の控除額が変動します。

年収201.6万円のボーダー

妻の年収が201.6万円を超えるようになると、配偶者控除・配偶者特別控除ともに適応外となります。

税金・社会保険それぞれ控除を受けることができなくなります。

自分は扶養の範囲内で働ける?フローチャートでチェック

扶養の範囲内で働くメリット・デメリット

扶養の範囲内で働くことには、メリットだけでなくデメリットも存在します。

ここではそれぞれを紹介しますので、働き方の参考にしてみてください。

扶養の範囲内で働くメリット

扶養の範囲内で働くことは、これまでに説明してきた通り、自分の社会保険料や扶養者の税金負担が軽くなることです。

1.自分(被扶養者)の社会保険料の負担が無くて済む

扶養の範囲内で働くことで、自分の社会保険料(健康保険・厚生年金)を納めることがなくなります。

例えば、自分の給与が額面で月20万円の場合には、社会保険料を月約2.8万円納めなくてはなりません。

その分手取りは少なくなりますので、自分で社会保険料を納めずに済むことはメリットであると言えます。

2.扶養者の税金負担が減る

被扶養者が扶養の範囲内で働くことによって、扶養者の税金(所得税・住民税)負担を減らすことが可能となります。

仮に、扶養の範囲から外れた場合、扶養者の年収が500万円であれば、1年で約7.5万円の税金負担が増します。

扶養者の年収によって税金負担は変わってきますが、扶養の範囲内であれば税金負担を軽くすることができるのはメリットの一つでしょう。

扶養の範囲内で働くデメリット

扶養の範囲で働くことはメリットがある一方で、デメリットも存在します。

1.将来自分が受給する年金額が少なくなる

扶養の範囲内で働くと第3号被保険者となり、国民年金に加入することになります。

対して、扶養の範囲を外れて働き先の会社で社会保険に加入し、自分で保険料を払うと第2号被保険者

となり厚生年金に加入します。

そうすると、将来国民年金に加えて厚生年金も受給できますが、扶養の範囲内では国民年金のみとなりますので受給する年金額が少なくなるのです。

2.傷病手当金・出産手当金が受けられない

扶養の範囲内で働いているときに万が一の病気やケガで長期休養を余儀なくされたとしても、被扶養者には傷病手当金は支給されません。

傷病手当金が受給できる対象となるのは、「被保険者」のみとなり、その点は扶養の範囲内で働く場合のデメリットとしてあげられるでしょう。

 

また、出産手当金も同様に受給することができませんので、現在扶養の範囲を超えて働いている方で、将来結婚・出産する予定または希望のある方は、注意が必要です。

3.世帯収入の増額は夫に任せる他ない

養育資金やマイホームの購入など、結婚してからは思った以上にいろいろとお金がかかります。

老後の心配もあって、なんとか世帯収入を増やしたいと思っても、そこは夫である扶養者に任せる以外に手段がなくなってしまいます。

資産運用などの手段もありますが、被扶養者であるためには稼ぐ年収に上限があることはデメリットとも言えます。

扶養の範囲内で働ける仕事を探すには

扶養の範囲内で働くことができる仕事を探すには、さまざまな人材募集サイトでキーワードに「扶養の範囲内」と入力して検索することで、探すことができます。

もし働きたい会社が検索で見つからない、もしくは働きたい会社があるけれど、扶養の範囲内で働くことができるかどうかわからないということであれば、直接会社に電話してみても良いでしょう。

規模の小さな会社であれば、人材募集サイトに募集の広告を出していないことも多々ありますので、働きたいと思った会社が実は扶養の範囲内で人材を募集しているということもあり得ます。

最新の税制改正、変更ポイントを抑えよう

平成30年度の税制改正で結局何が変わったのかをここでは完結に紹介します。

1.配偶者控除の給与上限が103万円→150万円に拡大

これまで、「配偶者控除」における被扶養者の給与上限は103万円でしたが、税制改正によって150万円まで拡大しました。

この改正によって毎年の年末にパートの出勤日数を気にして調整していた方も、思う存分とはいきませんが、働くことができる日数と給与を増やすことができます。

注意すべき点は、給与の上限が150万円まで拡大されたのは配偶者のみで、子どもは適応外ということです。

2.配偶者特別控除の給与上限が141万円→201万円に拡大

「配偶者特別控除」は、「配偶者控除」を抜けた途端に税負担が発生し、手取りが一気に減ることのないように設けられている仕組みです。

その給与上限が、かつては103万円から141万円でしたが、税制改正によって141万円から201万円に拡大されました。

3.高所得者の配偶者控除の縮小・廃止

税制改正以前は、被扶養者(妻)だけの年収に対して控除枠が設けられていました。

しかし、税制改正により扶養者側の年収上限も加わることになりました。

夫の年収が1,220万円以上の場合、妻が扶養の範囲内で働いたとしても控除の対象外となります。

また、夫の年収が1,120万円以上1,220万円以下で、妻が扶養の範囲内で働いた場合には全額控除ではなく、段階的に控除額が減少します。

扶養の範囲内で働くときに知っておきたい3つのポイント

扶養の範囲内で働く際には、収入面の他に知っておくべきことがいくつかあります。

ここでは主な3つのポイントを紹介します。

1.扶養の範囲内でパートを掛け持ちした場合

扶養の範囲内でいくつかのパートを掛け持ちした場合であっても、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」という年末調整の際の書類は1か所にしか出すことができません。

2か所目以降の勤務先にはこの書類を提出できないため、いくら給与が少なかったとしても所得税が源泉徴収という形で天引きされてしまうのです。

ですので、扶養の範囲内で複数のパートを掛け持ちするときは、「確定申告」を忘れずに行うようにしましょう。

確定申告をすることで、2か所目以降の勤務先で天引きされた所得税が還付されます。

確定申告というと難しそうに思えますが、税務署に行けば相談に乗ってくれて簡単に手続きを終えることができますので、おっくうがらずに行うことが大切です。

2.交通費は給与に含まれるのか

交通費が給与に含まれるか否かは、実は税金と社会保険で計算の仕方が異なります。

税金の場合

交通費が発生している場合には、税金の計算においては一定額(1ヶ月あたり15万円まで)は非課税です。

パートやアルバイトで1ヶ月にこれだけ高額の交通費になることはほぼないので、基本的に交通費は非課税と考えて良いでしょう。

注意したいのは、車通勤です。

通勤距離によって非課税額が異なりますが、最大で片道55km以上の場合に31,600円までが非課税の対象となります。

社会保険の場合

交通費の税金計算の際には非課税枠がある一方で、社会保険上では交通費は年収に含まれます。

自宅から職場までの交通費支給がたとえ定期券を現物で支給されたり、実費計算で経費として計上されていたとしても、それらを年収の金額に含まなければならないとされています。

そのため、税金面では控除の対象となっても、社会保険上では対象外となって社会保険料の支払い義務が生じてしまう可能性もあります。

扶養の範囲内で働いていて、交通費も支給されている場合には注意する必要があります。

3.夫が自営業の場合

夫が自営業の場合は、「130万円のボーダー」はありません。

自営業者が加入する国民健康保険と国民年金には、扶養控除というものがそもそも存在しないからです。

妻側も自分で国民健康保険と国民年金を負担するか、自分のパート先の社会保険に加入するかのいずれかになります。

一方で、「配偶者控除・配偶者特別控除」の税金面の控除は103万円・150万円・201万円それぞれにボーダーがあり、控除の対象となります。

まとめ

扶養の範囲内で働くには年収にボーダーがあり、そのボーダーによって税金や社会保険の控除額が異なりましたが、自分や自分の家庭は今後どうしていくか記事を読んで道筋をつけることができましたか。

また、扶養の範囲内で働くことは、税金や社会保険上で控除を受けることができる反面、将来受給する年金額が減少する可能性などのデメリットも存在することもここでは紹介しました。

扶養の範囲で働くかどうかを決める際、この記事を参考にしてみてください!

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